<椀の中にも宇宙はあるし>
「ありゃ、なんだい、こんなに残して……あ、おい、ちょっと!」
「ごっそさん」
天パがいつにも増して重々しい足取りで去った。
「……ったく、何だってんだい、こないだ親子丼の上に乗せた時は
もりもり食ってやがったじゃないか、変な奴だねえ」
「ホントだ、モッタイナイ、アタシがイタダキマス」
「病気が伝染るよ」
「大丈夫、アタシの菌の方が強いカラ」
「ったく。好物なのかと思ってたくさん買っちまったじゃないか」
どうすんだい、
このミツバ。
銀ちゃんが、いつまでたっても誰の物にもならない……
願望?深層心理の願望なの?
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